企業再生:不利な契約を解除する

不利な契約を解除する方法/民事再生/会社更生

事業構造を改革しようとした時、仕入先や外注先との不利な契約を解除したい時があります。
例えば、一定量以上仕入れないと単価が高いとか、違約金が発生するなどです。
事業所の移転などに伴う、オフィスや工場の賃貸契約の解除による違約金も避けたいものです。

しかも、一方的な解約/解除の場合、大きな違約金が発生してしまい、そこまで踏み込めない場合があります。

他に有利な仕入先、外注先があるにもかかわらず、乗り換えができないことから、事業構造改革の支障となってしまいます。

民事再生法では、そのような違約金は、過去の原因に基づく債務として再生債権として処理することができます。

再生債権としてしまえば、カット後の弁済は必要であるものの、限りある弁済原資をほかの債権者と分け合うに過ぎないので、再生会社としては、前向き用の資金を使うことなく、処理することができます。
再生債権となる請求権-民事再生法84条

84条第2項第3号には、「再生手続開始後の不履行による損害賠償及び違約金の請求権」も再生債権と明示されています。

再生債権ですので、議決権があり、カット後の一定額は支払わなければならないものの、当該違約金を全額払う必要はなくなります。

この不利益契約の整理機能は、私的整理にはない、法的整理ならではのものです。

私的整理だと仕入先、外注先は原則として手続きに取り込まないので、このような違約金が発生してしまうと100%払わなければならなくなり、前向きの資金繰りに、悪い影響を及ぼしてしまうのです。

事業の抜本的な改革をしようとしたときには、法的整理は強力な味方となってくれるのです。
取引先も巻き込む以上、その欠点だけでなく、利点も大きいものなのです。

泉会計事務所-民事再生、事業再生

民事再生手続の基本

破産よりはマシ-民事再生の基本

民事再生のみならず、企業再生の基本のひとつとして、清算配当率保障、という概念があります。

これは、債務カットをしていただくにあたって、最低でも破産した場合の配当率を上回ることが要請される、というものです。

民事再生法では、「再生債権者一般の利益」という文言でもって、この清算配当率保障が定められています(一般の利益、というのは清算配当率保障を含む、もっと広い概念です)。
民事再生法第174条(再生計画の認可又は不認可の決定)

したがって、債務カットを生じさせる企業再生スキームでは、この破産配当率(清算配当率とも呼ばれます)を試算し、それを上回る弁済をすることが要請されるのです。

その清算配当率を算定するための基礎が、民事再生法の財産評定です。
はじめての財産評定-会社版民事再生手続総合情報

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