各界で活躍する公認会計士 田中達人さん

各界で活躍する公認会計士 公認会計士というハイスキルな資格と経験を活かし現在様々な業界で活躍している皆様の諸先輩方に会計士としての経験の活かし方、キャリアの広げ方ど興味深いお話を伺いました

クライアントの発想を知る貴重な経験

帰国後、しばらくして事業会社に転職なさっていますね。これはどういう心境の変化ですか。また、そこで得たのはどんなことですか。

監査法人の仕事としては国内も海外も経験したので、今度は事業会社で仕事をしてみたくなったのです。といっても経験を生かせるのは監査業務ですから、内部監査部門でマネージャークラスの人材を求めている会社を探したところ、大手通信会社と出会いました。幅広い業務があり、社員のみなさんも臨機応変に仕事に立ち向かう人たちだったので、一緒にいて非常に面白く感じました。

その後、かつての上司や仲間に誘われて、再び監査法人に戻ることになりました。あらた監査法人では、事業会社で勤務していても専門性のある方の入所を歓迎していて、実際に多くの人がそうした経歴を持って活躍しています。それは監査法人一筋の人とは異なる経験に大きな価値を見出しているからではないでしょうか。私の場合も2年ほど在籍した通信会社での経験は、海外経験に勝るとも劣らない貴重なものだったと思います。サービスを依頼する側になってみて、クライアントの気持ちが非常によくわかるようになったのです。

5年先の自分を見据えたキャリアプランを

いまはどんな仕事を担当なさっていますか。また、転職を考えている方にアドバイスをお願いします。

J-SOX 法により、上場企業は内部統制に関して報告の義務が課せられました。提出する書類には会計士の監査が必要です。私の仕事は、監査を行うことではなく、クライアント企業の味方になって、内部統制の構築や、その評価の仕方について、アドバイスすることです。監査するのは別の監査法人ですので、その監査に耐えうるようクライアント企業をお手伝いするわけです。この制度はまだ始まったばかりですが、定着した後にはどんな新しいサービスが提供できるのか、そこまで視野に入れながら仕事をしています。

アドバイザリーサービスに従事する専門家はキャリアプランを考えることが非常に大切です。その際には5年くらい先に自分がどうなっていたいか、ということをイメージする必要があるでしょう。異動先や転職先によっては、自分の求める専門性を磨くことができない環境に入ってしまう恐れもあるからです。経済環境や法制度も変化するので、10年先、20年先を見通すことは難しいと思います。5年先を見据えてキャリアプランを明確に持つことを考えるといいでしょう。

いま日本経済は大変厳しい環境にありますが、経営者も意識を変える必要に迫られるので、我々の業界にとっては大変なビジネスチャンスともいえます。こういう環境にあるからこそ、クライアントに意義ある提案ができるのではないでしょうか。海外を見てきて日本人の職業的な倫理観は高いと感じました。その強みを生かした経営をしていってほしいし、会計士としてそのお手伝いをしていきたいと思っています。

─本日はありがとうございました。

プロフィール

田中 達人  Tanaka Tatsuhito

  • あらた監査法人 財務報告アドバイザリー部
    ディレクター 公認会計士
  • 1964年岐阜県生まれ。立命館大学経済学部卒。公認会計士試験に合格後、青山監査法人に入社、6年間の国内業務を経て、PwC のベトナム、タイ、中国の各法人に勤務。2003年に帰国し2年間、中央青山監査法人に勤務後、大手通信会社に転職。2年後、あらた監査法人に移り、現在に至る。

ワークス・サポートより

静かな口調で語る紳士ですが、それまで縁のなかったベトナムに飛び出したり大手通信会社で勤務したりと、会計士の魅力である「国境や業界を超えた活躍」を大胆に体現してきています。目下の夢は軽飛行機で空を飛ぶこと。海外勤務や転職に文句一つ言わず付き合ってきた奥様も、これには大反対だとか。「根気よく説得する」とご本人は意気軒昂ですが、どうなるでしょうか。