各界で活躍する公認会計士 佐藤 桂さん

各界で活躍する公認会計士 公認会計士というハイスキルな資格と経験を活かし現在様々な業界で活躍している皆様の諸先輩方に会計士としての経験の活かし方、キャリアの広げ方ど興味深いお話を伺いました

3年間で500 億円の利益に

ソフトバンクでの仕事で印象に残っていることを教えてください。

たくさんあるのですが、2000年9月の銀行買収もその一つです。不良債権の実態がわからず、買収は大きなリスクを伴うものでした。孫正義さん(ソフトバンク(株)代表取締役社長)は即断即決の人ですが、「この案件は時間をかけてでもトコトン査定しないとたいへんなことになる」と進言し、トーマツにデューデリジェンスを依頼しました。この法人は銀行の監査に長けていて、デューデリジェンスにも厳しく取り組むことで知られていたので、うってつけだったのです。

デューデリジェンスとしては異例の1カ月を超える作業を経て、対象銀行の実態を洗い出し、その結果、買収条件として長期の瑕疵担保特約条項も付けることができたため、買収後に顕在化した不良債権に適切に対処でき、2003年9月には米国の投資ファンドに株式を売却。約500億円の売却益を計上しました。3年間で500億円ですから、大成功のディールだったといえるでしょう。

合弁会社の成長に尽力

常勤監査役を務めた後、ビジネスの最前線で活躍されましたね。

常勤監査役を3年間務めた後、「そろそろ現場に移りたいのですが」と孫さんに相談しました。幸い、「君はグループの中にさえいてくれれば、どこにいてもいい」との返答でしたので、ソフトバンク・イーコマース(株)(後のイーコマース/ECホールディングス)に財務経理統括の執行役員として移りました。財務経理分野で自分の価値を発揮できると思ったのです。

同社は宮内謙さん(ソフトバンク(株)取締役、同グループ主要各社副社長兼任)が率いる会社で、宮内さんは「日本のeコマースを大きく成長させるため、どんどん投資するぞ!」と号令をかけていました。100社以上は投資したでしょうか。成功もあれば失敗もありました。投資意思決定への参画や合弁先との交渉のほか、合弁会社の基盤整備、双方の投資元会社とのシナジーを生かして成長を加速させるような環境作りを担っていました。

合弁会社というのは、ともすれば作っただけで終わりがちなのです。経営の仕組や営業体制を構築するなかで、親会社のあらゆるリソースをうまく活用しないと、利益を生む会社になりません。

それから、この時期に学んだ大切な、しかし、当たり前のことですが、会社には、CEO、COO、CFOの三者が絶対に必要です。CEOが経営の方針を打ち出し、COOがそれを現場に落として実績を上げ、CFOが計数管理と資金繰りをつけて羅針盤を示す。ある程度の規模のビジネスを創ろうとすれば、この三者しっかり機能しないと経営はうまくいきません。数々の経験のなかから、「経営は人なり、企業は人なり」を学びました。

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